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ソーシャルワーク研究会便り10

2021.3.8

藤澤美保


『ソーシャルワーク研究会での発表を振り返って』


 2021年2月20日(土)のSW研究会にて、保健の科学12月号に寄稿させて頂いた日常生活自立支援事業に関する内容と、東洋大学での修士論文の内容をまとめた、「独居高齢者に対する自己決定支援のあり方」というテーマで発表をさせて頂きました。発表の機会を頂いたこと、心より感謝申し上げます。拙い発表であったにも関わらず、参加していただいた先生方・先輩方から、ご意見ご指導を頂き誠に有り難うございました。北島先生や茶谷先生をはじめ、皆様から沢山のご意見やご質問を頂きましたが、当日ほとんど応えることができませんでした。後日の回答となってしまい申し訳ございませんが、この場を借りて北島先生より頂いた問いつきまして、現時点での考えを述べさせて頂きます。また、今後取り組んでいきたい研究テーマについて少しですが述べさせていただきます。


1.北島先生より

【今答えられる範囲でいいので、自己決定と意思決定をどのように捉えているのか。】

修士論文の中では自己決定支援を以下のように定義しました。

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  ソーシャルワークの倫理:原理についての表明において、自己決定に関する

  権利について以下のように説明されている。「ソーシャルワーカーは人々が、

  彼らの価値観や人生の選択がいかなるものであるかに関わりなく、その決定

  が他者の権利や利益を侵害しない限りにおいては、自分で選択し決定する

  権利を尊重しなければならない。」(北島 2016)

  本論文では自己決定支援とは「自己が選択し決定することを支援する」こと

  とする。

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 修士論文をまとめた後、自己決定支援と意思決定支援に関して継続して文献を確認している途中経過ではありますが、現時点では以下のように考えております。

 自己決定は自己決定権と表現されるように、権利を表す文言として使用されるが、意思決定に関しては意思決定権という使われ方はほとんどされていません(現時点までに確認した文献には見当たらない)。そのため、自己決定を権利と捉え、自己決定支援とは権利を行使するための支援、または権利を侵害されないための支援と考えます。意思決定に関して、ハーバート・サイモンは認知的行為と位置付けられており、目的のために複数の選択肢の中から最良・最善の選択することであると捉えることが出来ます。そのため意思決定支援とは、最良・最善の選択を行うための認知的行為を支援することと考えます。自己決定支援と意思決定支援については継続して文献サーベイを行い、どこかのタイミングでまとめたいと考えています。その際には、皆様方のご意見・ご指導を頂ければ幸いです。

 また、藤林先生からご指摘いただいた通り、厚生労働省が示している、「障害福祉サービスの利用等にあたっての意思決定支援ガイドライン」(平成29年)「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(平成30年)「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(令和2年)は全て意思決定支援となっており、支援対象者に関わらず、自己決定支援という文言は使用されていません。この件についての文献は見つけることができなかったため、これについても、ワーキンググループの審議録などを確認し、意思決定支援に統一された経緯をまとめたいと考えております。

2.ソーシャルワーク技術のIDを活用した研修の可能性

 先日、社会福祉士会基礎研修1の課題として、社会福祉士が抱える課題について3名の先輩社会福祉士のお話を伺う機会がありました。その3名ともが、「実践を振り返るためのスーパービジョンを受ける機会がない」「自らの実践の根拠を整理できていない(理論と結びつかない)」「研修を受けても、うまく実践と結びつかない」と話していました。その課題克服の為に行っていることは何かと尋ねましたが、答えはありませんでした。私の所属する組織は、3ヶ月に1回程度の頻度で研修に参加させてもらえる環境のため、他の組織に比べ研修は多く組まれていると思われます。しかし、研修自体が独立した形であったり、研修後のフォローアップ体制が十分でないこともあり、私自身、職場組織でソーシャルワーク技術を体系的に学んだとは感じていません。職場でのソーシャルワーク技術の研修を、ID(インストラクショナルデザイン)を活用して行うことが可能かどうか、研究してみたいと考えております。

 今後機会を頂けるようでしたら、ソーシャルワーク研究会に参加されている実践家の方々に、皆さんの組織で行われているソーシャルワーカー育成のための取組みについてお話をお聞きしたいと考えております。まだまだ先の事にはなるかと思いますが、その際はよろしくお願いいたします。


3.おわりに

 コロナウィルス感染症は未だ収束する気配が無く、ワクチン接種もなかなか進まない環境の中、医療関係者だけではなく福祉関係者も高リスクな状況で仕事を続けています。あまり報道されることはないように感じますが、知的障害者通所施設職員や在宅認知症高齢者の支援を行なっているケアマネジャーや介護ヘルパーの方々の罹患、重傷者が、今年に入ってから周辺で多くなってきたように感じております。“自らを守れないものは誰も守れない”ということを肝に銘じ、私自身も感染対策をしっかり行っていきたいと思います。SW研究会に参加されている皆様方も、大変な環境下で支援に当たられているとお察しいたします。皆様方の健康を心からお祈り致しております。

藤澤 美保

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