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ソーシャルワーク研究会便り5

2020.8.24

橋本賢一


「特別養護老人ホーム いずみの苑~コロナ禍のSW実践~」


 先日は、ソーシャルワーク研究会において、コロナ禍における施設の取組みの発表の場を与えてくださり、心から感謝申し上げます。


 その後、変わらず施設ではコロナウィルスとの闘いが続いています。


 私自身発表をとおして、取組みを整理することができ、また助言を頂いたことで、状況を客観化する助けになりました。非常事態的なこともあり、多くの情報を入手し、日々マニュアルを整備することでやっとというところでした。施設のリスク管理について捉え、一つの対応がいかに効果的でどのような意味があるのかを考えました。様々な取組みの中から、発表でも取り上げた家族の面会方法の工夫に関して説明すると、比較的重度の傾向がある特養を中心とした施設では、利用者の状態が数日単位で変化することも珍しくありません。利用者の顔をしばらく見られなかった家族にとってその状態変化についていくことが、難しい場合もあります。感染を防止するためには面会制限をかけることが最善策ですが、家族にとっては面会できないストレスが続くことになります。安全面と家族の思いを両立させるために、施設の構造を踏まえた「窓越し面会」を考案しました。一日の面会可能な人数には限りがありますが、この状況下においては、利用者、家族に一定の満足感を提供できているように感じています。職員においても業務が増えるという側面もありますが、この面会が以前にも増して利用者、家族との結びつきの深さを再認識できる機会にもなりました。


 他の取組みにおいてもその意味を見出し、言語化していくことで現場のスタンダードが確立していくと考えます。さらにそれらが、福祉変革の原動力となっていくのではないでしょうか。我々はともすると、自施設のことだけを考え、内向きになってしまう状況に陥りがちです。しかし、施設の取組みや考えを外部に発信し、伝えていくことでそれらを普遍化していけるのでしょう。あらためてこの研究会でそれらを気づかして頂きました。


 また今回は、職員自身のコロナウィルスに対する恐怖心をどう受止め、支えていくのかが大きな問題となりました。現場のリーダーが訴えを傾聴したり、場合によっては、出勤時間をずらしたり、臨時に車通勤を認めるなどしてストレス軽減を図りました。それでも当初出勤できない職員も若干名いました。現在は復帰していますが、実際感染した職員と合わせて、現場の人員が減少してしまうという事態は起こりうることです。これは、事業継続が不可能となるリスクをはらんでおり、このような危機も想定し、対応していかなければなりません。


 北島先生がお話された諸外国の施設の現状において、現場のワーカーが利用者を置き去りにするという俄かには信じ難い状況があることに驚きました。確かに我が国は、なぜこのコロナ禍においても極端な形で業務を投げ出したりせずに、支援を展開し続けることができるのか興味深いと感じました。


 今後社会は、コロナと共存し、いわゆる「新しい生活様式」を構築していかなければならないと言われています。このことは、社会福祉実践においても同様で、我々はこれから先、時代や状況にあった実践方法を模索していかなければならないのでしょう。今回SW研究会で発表の場を与えて頂き、実践を「言語化」していくことの大切さを再認識しました。自らの実践を言語化できることが、「専門職」です。その実践を外部に発信し、体系立て、社会変革を目指していくことが専門職の使命であると実感しました。今後もSW実践を危機的状況下で展開することの意義、効果を追求していきたいと研究会を通して強く感じました。


いずみの苑  橋本賢一

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