検索

ソーシャルワーク研究会便り2

2020.5.31

藤林慶子


コロナ禍で研究会も開催できないままですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 社会福祉現場・教育現場の両方で、この状況は大変だと思います。


1.社会福祉の現場では

研究会の会員でもある橋本賢一氏(社会福祉法人東京援護協会 特別養護老人ホームいずみの苑次長)に現場の現状を聞きました。下記に抜粋をします。

特別養護老人ホームでは、面会制限のために面会できない家族に対し、タブレット端末を導入し、来所の家族と各階の入居者とテレビ電話をしています。

若干名の職員が感染の恐怖から鬱的になり出勤できないケースが出てます。長丁場なので他の職員が続かないことを願っているのですが。

特養生活相談員は、会えない家族へのフォローをしています。電話連絡をして、利用者の状態をつぶさに伝えたえています。家族に安心してもらうことが第一ですが、重度の人も多く、急変した場合、家族が変化についてこれないことが予想されるため、特に訴えの多い家族には、より丁寧に説明しています。また病院からの新規利用者受入れに関してはかなり慎重に調査しています。

通所介護生活相談員は、特に感染に気をつけて運営しなさいとの御達しがあり、時間短縮や送迎車乗車人数を減らしています。ただ、欠席者は多いのが現状です。コロナ絡みの欠席者に対して、同意があれば電話で健康状態把握や相談に応じれば報酬算定できる特別措置があり、可能な限り展開しています。やはり不安感の大きい利用者はいて、この制度に関係なく電話相談に応じています。ちなみに認知症状の重い利用者は、コロナを理由としてはお休みしない傾向が見られますが、家族のレスパイト目的が強いからではないかと考えます。

地域包括支援センターでは、来所相談の場合、検温、うがい、手洗をしてから相談室に入ってもらいます。リーチアウトは通常のようにしていますが、防御策を徹底し、できれば玄関先で話すよう指示してます。入室しなければならないときは、リスク軽減を図るように伝えています。

居宅介護支援は、事業所からの相談が増えているようです。休止するデイがでると、代替のサービス調整が必要になり、スピーディーな対応に迫られます。訪問は極力控えられないかと投げかけても、使命感に燃えて外へ出ていくケアマネが多いです。 

以上、本当に大変な時に、一生懸命に利用者・家族のためにがんばっていることがわかります。これらのことに、スーパービジョンをしていくとまたおもしろいのですが、今回はまずはご紹介まで。


2.ソーシャルワーカーとしてどう動くのか?

 この現状報告を読んで、ソーシャルワーカーとしてどう動けばよいのかを考えました。大変な状況の中で、いろいろな工夫をしていることが読み取れますが、それは何のためかをもう一度考えてみましょう。そして、ソーシャルワーカーとして、どうしたらよいかも考えましょう。

 今回のコロナ禍はリスクマネジメントの問題が取り上げられています。我が国の現場では、管理者なのかソーシャルワーカーなのかがごちゃごちゃになります。認定社会福祉士も上級は明らかに施設管理者を意図しています。ソーシャルワーカーがキャリアを積めば管理者になることと、ソーシャルワーカーという観点を持ち続けることをどう考えればよいのでしょうか。

 専門職が管理職になるということは、社会福祉士だけではなく、医師も看護師も同様にあります。例えば、病院の院長は医師でなければならないということから、それまで経営なんて学んでいなかった医師が経営者になったりするわけです。

つまりすべての職種に管理という知識が求められるので、病院管理や看護管理という授業を医科大学や看護大学でも置いています。しかし、医師として管理者になることとソーシャルワーカーが管理者になることは違うのでしょうか、同じなのでしょうか。医師の場合は、一つには専門性を高めるというスペシャリストの道があり、それとは別に管理者としても道があるのに対し、ソーシャルワーカーの場合は専門性の中に運営管理も入っており、それが認定上級社会福祉士の中に入っているということを、私はもう少し考えなければならないと思っています。

つまり今回のコロナ禍のリスクマネジメントは、管理者として行うこととソーシャルワーカーとして行うことは同じなのか違うのかを、ずっと考えています。このような時期だからこそ考えなければならないことかもしれません。


3.おまけ

既にご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、尾見先生や西浦先生も入っているtwitterにある「新型コロナウィルス感染症に関する専門家有志の会」(note.stopcovid19.jp)は、とてもきちんとした新型コロナの状況等、様々なことを発信しています。同様に、ノーベル賞の山中伸弥先生のhttps://www.covid19-yamanaka.com/sp/index.html もおすすめです。このHPにリンクがある宮坂昌之招へい教授(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)と木村正人氏の対談もぜひご覧ください。

最新記事

すべて表示

2022.9.24 竹沢昌子 ユダヤ系アメリカ人ソーシャルワーカー ローラ・マーゴリスの活動から ソーシャルワークの過去・現在・未来を考える 第43回ソーシャルワーク研究会において、1920年代にソーシャルワークの専門教育を受け、ホロコースト時代を中心にユダヤ難民の救済活動に尽力したユダヤ系アメリカ人ソーシャルワーカー、ローラ・マーゴリス(Laura Margolis, 1903-1997)につい

2022.8.15 特定非営利活動法人 東京ソテリア 塚本さやか 精神保健福祉事業者が取り組む制度外事業の一例 ~精神科病院のない国イタリアとの共同プロジェクトを中心に~ 東京都江戸川区で活動しているNPO法人東京ソテリアの取り組みとして、制度外事業として独自におこなっている事業を2件報告させていただいた。 1. ソーシャルファーム事業 東京都では、「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルフ

2022.8.1 名寄市立大学 小泉 隆文 「農福連携」という言葉は浸透しているのか? 10月23日に『農福連携とソーシャルワーク』というテーマでご報告させていただいた。報告の内容は、わが国における農福連携の現状を既存の統計やアンケート調査を用いて概観したものや、実際に私が障害福祉サービス事業所で経験したものであった。 近年、農福連携はさかんに取り組まれている。農福連携という言葉がまだない時期に、